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2007/08/19

『VEXILLE(ベクシル) 2077日本鎖国』を観たぞ

 2007年8月18日は、昼から映画三昧。まずは『VEXILLE 2077日本鎖国』。今日封切りの新作映画。

 ベクシルとは、主人公のベクシル=セラのこと。24歳女性、アメリカ合衆国海軍の対外諜報特殊部隊SWORDの兵士で、常に最前線を駆け回る火の玉娘。

 映画は冒頭、彼女たちの部隊が、合衆国内フィラル山に建つ日本のダイワ(大和重鋼)が所有する豪邸を目指す所から始まる。米国、欧州、アラブなど、世界の趨勢を狙う10ヶ国の政府高官たちが一人のずつ、この邸に入って行く。しかし、それは、公的な国際会議ではなかった。
 しかし、集められた高官たちは、邸を取り仕切るダイワの米国内における交渉担当、サイトウの手に拠り、毒殺されていた。血を吐き悶死する十人を背に、窓の外を眺めながら高笑いするサイトウ。
 その直後、SWORDの攻撃が始まった。SWORD兵士は、パワードスーツで降下、突入を図るが、邸を守るダイワ製のロボット兵器を相手に苦戦する。とはいえSWORDの戦力は徐々にロボット兵士を圧倒、会議に集まっていた各国代表を確保。最後まで抵抗したのはサイトウ。ベクシルは、ダイワ差し回しと思われる輸送機に飛び移って逃げるサイトウの足にしがみつき、ともに空中へ。しかし、サイトウは全く躊躇せず、取り出したナイフでベクシルに組みつかれた自分の足を切断、まんまと逃げ遂せる。

 事後、SWORDは大いに揺れた。まず、会議に出ていた各国高官らが全員すぐに釈放されたこと、それどころか、ベクシルが確保したサイトウの足すら、ダイワが手を回した日本政府からの強い意向で返還させられたのだ。だが、その前にSWORDが掴んだ事実こそが、もっと大きな衝撃となっていた。サイトウの足は機械だった。しかし、義足の類ではなく、また通常の金属反応も出ない。それは生体金属とでも呼ぶべき細胞組織を有していたのだ。

 この世界の日本はずっとハイテク技術が進み、倫理観を越え、生命への尊厳を越えた技術革新が続いた。家電品から兵器まで日本製のロボット技術が世界を席巻していたが、21世紀半ば過ぎに人間の延命パーツやアンドロイドが実現されるに至り、国連で原子力・バイオ技術と並び、この分野にも国際協定が作られ、規制が設けられるようになる。しかし、日本はこれに強く反対。最終的に国連を脱退し、2067年遂に鎖国を開始した。世界で最も電子技術の進んだ国日本の鎖国は、可視光線・信号に至るまで全ての電磁波と物体の出入りを物理的・電子的に阻害する電子の壁で国土を覆うことで、人の出入りはもちろん、有意情報1パケットたりとも出入りできないという完璧なものであった。電子の壁は可視光線すら変調するので、偵察衛星のカメラもここ10年、日本の国土を覗くことはできていない。
 しかし、斯様な鎖国状態にありつつも、日本は今もあらゆるロボットの主要な産出国で、貨物船で運ばれて来るダイワの製品は世界を席巻していた。車も、家電品も、ベクシルたちSWORDが使う装備も、全てダイワの製品を払拭することはできなかった。
 とはいえ、如何に世界のハイテク製品工場であり、米国政府すら動かす影響力があるとしても、日本およびダイワが米国に対して何かを企むのであれば、SWORDは独立した機関として、それを明らかにし、国家の安全を守ることが任務である。
 彼等は、ハイテク防壁をくぐり抜け、日本で何が起こっているのか直接確認する作戦を発動した。

 という出だしの映画。アクション良し、ライブアクターを使ったCGは、なかなか堂に入っていた。主人公ベクシルに協力するマリア等を除くほとんどの日本人がもンの凄くショボ顔なのも、まあ、ご愛嬌……。

 てところで、 ネタバレ行きます! 15行後














——————————————————ネタバレ——————————————————

 主人公ベクシルがハッとするような美女で、協力者のマリアも美形女戦士、そのマリアと愛し合っていたが10年前の鎖国時に離別し、今はベクシルと暮らしているレオン=フェイデンも、キャプテン・スカーレット風で結構美形。ビジュアル的に掴みはOKなんだが、ストーリーの奥に流れているSF設定がねぇ。なんっちゅうか、ちょっと勘弁してもらいたい。

 一人の狂人技術者が、鎖国という手段で閉じ込めた日本民族全員をモルモットとして、人体の細胞レベルからのハイテク化の実験を行なったが、不完全なウィルスによりそれは失敗。一旦、細胞を金属化し老化・成長がストップするため、人類の不老不死化に成功したかに見えるが、最後に脳細胞まで完全に金属化すると、人間性を失い意志を持たない生体ロボットと化す。それによって日本人はほとんど死に絶え、一部、昔東京と呼ばれた地区のスラムに残っている街を除き、全国土は荒野と化している。
 この荒野には、意思を失った元人間の寄り集まった巨大群体生物ジャグが棲み、金属を喰らって生きている。人々は、スラムを囲むように建設された高い石壁で街を守り、いずれ来る意思の死を待つ、あての無い日々を暮らしている。
 一方、大和重鋼は東京湾内に巨大な人工島を築き、そこの工場で世界に送り出す製品を作り続け、利益を上げている。

 んー。なんだかなー。アニメ熱にウカされた中学生が始めて書いたオレSFじゃないんだからさぁ、もーちょっと、設定にリアリティーを持たせて欲しいよ。
 この金属生命体になった日本人たちは、スラムの住人たちも、社長の片腕として世界で暗躍する大和重鋼のサイトウ総務局長も、みな、黒いオイルのような血を流す。しかし結局、悪の科学者、この事態を引き起こした張本人たるダイワ社長のキサラギは「自分という大事な指導者が不確かな技術で死んでしまったら何にもならんから」という理由で、まだ金属生命体化しておらず、赤い血を流す。それを見て裏切られたことを知ったサイトウは、キサラギと対立し、彼等の計画は潰えることとなる。
 10年と掛からずに日本国民ほぼ全てを機械生命体化して殺してしまい、それを一切外には気取られぬようにハイテク製品を輸出し続け、作戦全体を取り仕切った組織にしては、なんとも甘い崩壊の仕方。
 そもそも、10年間、新製品開発に回せるだけの技術者がいない筈のこの国で、世界に伍して新製品を作り続け、常に競り勝つことがどうやったらできるのかが謎。ここいらへんが何ともペラペラな感じ。
 『青の6号』のゾーンダイク博士とかと較べて、恥ずかしくなるような小物っぷりじゃあないですか。しかも、今回野望が潰えたのは、高校時代にホレたらしく、10年前の鎖国時に追い払っておけばよかった所を無理矢理レオンとの仲を引き裂いて日本に留めた(ものの、未だに自分のものには出来ないでいる)マリアのお陰という情けなさ。どうしても、やらかしたことと本人の各時点でのおバカ行動が釣り合わないんだな。

 別に、生体機械化した日本人が、永遠を生きる社会を築くために生物都市的な融合を果たした群生体と、それに異論を唱え個々の個体で暮らすことを良しとする守旧派に別れて泥沼の内戦を続けていてもよかったんじゃない?

 別に、生き延びた人間たちの日本唯一の街が、石壁で外敵(ジャグ)から身を守るなんていう、キングコングに出て来る髑髏島の村のイメージそのまんまでなくてもいいんじゃない?

 ところで、別にジャグって、群生体なんだから、いつでも筒状にうねってなくても、壁みたいに広がって迫って来たり、半球状の本体から触手が伸びて来たり、その時々で姿形が変わっても良かったと思うんだけど、ずっと筒状で砂の中から現れるのは、やっぱり砂虫(惑星デューンのサンドウォーム)へのパスティーシュ?

 ちなみに、別にジャグが暴れ続けたからって、アルプスから富士山まで、全ての山々が綺麗に平地になるほど日本列島が潰されることは無いんじゃない? (ジャグは金属を喰らうが石や岩は無視する筈)

 あ、そういえば、パスティーシュといえば、SWORDって、組織の成り立ちも行動も、『攻殻機動隊』の公安9課に随分似ているんだけど、やっぱり意識した?

……等々、なんともツッコミ所満載の設定。

 以上、「SFは絵だねぇ」とはいうけれど、映画って、かっこいい絵が成り立てばストーリーを放り出して来てもOKってことは無いんだよねぇ。
 次回作には期待したいけど、次もSFやってくれるのかなぁ……。

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コメント

SFは絵じゃない。
一目見てひどい映画だった。

投稿: はっとり | 2009/12/31 01:06

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