風邪ひいちゃうぞ

　ANIME NATIONというサイトにあるAskJhonというコーナーをご存知だろうか。米国人で日本のアニメ・マンガのファンと言う人たちが寄せる素朴な疑問にJhonが応えるという有名なコーナー。
　当然、奇想天外な質問に、ジョン=オプリガー氏が快刀乱麻、ばっさばっさと……。いや、あまり快刀ではないらしく、怪答乱麻。かえって混乱するような珍回答もあったりして、「謎は深まるばかり」という話も多い。

　このAskJhon、面白いということで、日本語化している方が居られる。『AskJohnふぁんくらぶ』だ。ひと月ぐらい前に、ここで面白い質問があった。

日本人は「体が冷えると風邪をひく」と本気で信じているのですか

質問

「寒いのに外にいたせいで倒れる」というパターンがANIMEにはやたら多くて大真面目に描かれますが、私の気のせいでしょうか。そもそも風邪の原 因はウィルスです。体が冷えたり濡れたりしても風邪とは直接関係はないと思うのですが。チョコレートを食べ過ぎるとニキビができるとか、ガムを飲み込むと 消化されるまで数週間かかるといった類の間抜けな迷信が米国にもありますが、そういうのはむしろジョーク扱いで、無知な子どもをかつぐときに使われていま す。

しかしANIMEでは「体が冷えて風邪をひく」という迷信が大まじめに出てきます。ちょっと体が濡れたり冷えたりすると、「大変、体を温めて着替え ないと風邪をひくわよ！」と言い出します。で、暖かくしなかったせいで本当に倒れてしまうんです！こういうのはたぶんジョークだと思うのですが、日本人は 本気で信じているわけではないですよね。

　うむ？　と思われた日本人が殆どではないだろうか。濡れ鼠で放っておいたら、そりゃ体調によるとはいえ、鼻風邪ぐらい引くだろう。そう思うのが我々日本人だ。しかし、そんなのはアメリカ人にとっては迷信でしかないという。
　回答も揮っている。

回答

日本では今でもたくさんの伝統に加え非科学的な迷信が信じられていることに大抵の米国人は驚くと思います。「体が濡れたり冷えたりすると風邪をひく とか肺炎になる」というパターンもその一つです。「お腹を冷やすと下痢を起こす」とか「頭を北向きにして寝ると不幸になる／早死にする」「新年最初に見た 夢は実現する」「櫛（くし）が折れる／下駄の緒が切れるのは不幸の兆し」「夜に爪を切ると親の死に目にあえない」……

——　中略　——

……こういう迷信のせいで日常生活や生産性が損なわれている様子は日本にはありません。こうした迷信の多くは日本人の日常生活に溶け込み、意識しないほど根付 いているのです。同じく、ここ米国に残る大時代な迷信についても外国人の目には非論理的でまぬけに映るはずです。古くから伝わる迷信にはある程度根拠や理 由があるものです。日常に溶け込んでいるゆえにANIMEにもしばしば出てくるわけです。それに、いろいろな日常慣習を誇張を交えながらもきちんと描くの がANIMEなのです。

　おいおい、ぬれた服のままでいて風邪を引くのを、「日常慣習を誇張を交えながら描いている」ことにされちまったよ。(^_^;)

　ただ、アメリカ人がこう考えるのも、なんとなく判る。たとえば、フロリダのユニバーサル・スタジオなどの遊園地では、結構水をかぶることを面白がるアトラクションがある。ウォーター・スライダーになったインディ・ジョーンズとか、最前列で見ていると、走り回るジェットスキーの水しぶきをもろにかぶるウォーターワールドなど、パンツぐちょぐちょになるまで水をかぶらされる。しかし、然程困りはしない。なぜなら、まあフロリダで暖かいというのもあるがそれ以上に気候が乾燥していて、日本人が体験的体感的に思い描く何倍もの早さで、濡れた衣類が乾いてしまうのだ。
　もちろん、それでも早くなんとかしたい客のために、アトラクションの出口で作品ロゴ入りの衣類を各種取り揃えて売っている、なかなか商売根性ストレートにむき出しなショップまであったりもする。とはいえ、ちょっと我慢していれば割と乾いてしまう。
　乾燥していると言えば、西海岸とか中西部もかなり乾燥しているから、湿潤な日本よりはアメリカは全体的に衣服が乾き易いと言っても良いのかも知れない。

　うーむ。というか、湿潤といってもカリブ海の海洋性気候程度しか思いつかないアメリカで、日本の湿気の高さを理解せよというのは無理かもねぇ。

　……と、女房に話したら、ひとこと言われた。

　「馬鹿は風邪引かん」

……あ、ああ。(^_^;)