羊の皮をかぶった狼に、罪は無いぞ
ちょっと気持ちの悪いニュースである。
『無敵超人ザンボット3』や『機動戦士ガンダム』の制作局として知られる「名古屋テレビ」は現在、局名愛称「メ〜テレ」としてコーポレーション・アイデンティティー(CI)を図っている。名古屋では、名古屋駅のことを「名駅(めいえき)」、名古屋城を「名城(めいじょう)」名古屋港を「名港(めいこう)」と呼ぶことが多いから、30年以上前から既に「名古屋テレビ」は「名テレ(めいてれ)」と略して呼ばれていた。その「名」をカタカナと波長音の「メ〜」にした「メ〜テレ」に切り替わったのは、2003年4月のこと。
このCIの一環として、マスコットキャラの「ウルフィ」がいる。なんでも「メ〜」が羊の鳴き声に繋がるということで、ウルフィは、「羊の皮をかぶった狼」の姿。ちょっとびっくりしたような目の可愛いキャラクター。割と人気があるようで、局からのプレゼントに止まらず、キャラクターグッズとしても人気商品になっているようだ。また、局自身も「羊の皮をかぶったテレビ。」をキャッチフレーズにしており、なかなか一貫している。
このウルフィに嫌なことが起こった。asahi.comの2008年3月2日の記事『景品の人形から針 メ〜テレのキャラクターグッズ』である。
名古屋テレビ(メ〜テレ)は2日、キャラクターグッズとして販売、頒布しているぬいぐるみ人形1体から長さ3・5センチの縫い針が見つかった、と発表した。
同テレビによると、針が見つかったのは2月29日、愛知県一宮市のコンビニエンスストア「ファミリーマート一宮昭和2丁目店」の開業イベントで、くじ引 き用の景品として出された「スプリングストラップつきマスコットウルフィ」(体長約10センチ)。1日午後、当選して受け取った女性から「針が入ってい た」と連絡があったという。女性にけがはなかった。
これを受け、メ〜テレでは、販売・頒布の双ルートでウルフィの同系統グッズ2種の回収を決め、直ちに行動を開始した。『当社キャラクターグッズへの縫い針混入について』という告知が出ている。
弊社がキャラクターグッズとして販売、頒布などを行っております「ウルフィグッズ」のうち、「スプリングストラップつきマスコットウルフィ」1体から、手縫い針が見つかりました。
弊社といたしましてはこの事態を厳粛に受け止め、下記の要領にて当該商品をいったんお預かりし、検針検査を実施したうえでお返しさせていただきます。
お手元に当該商品がございましたら、まことにお手数ではございますが、下記送付先まで着払いにてお送りいただきますようお願い申し上げます。検針検査が済み次第、順次お預かりした商品をお返しさせていただきます。
皆様に多大なご迷惑をおかけいたしますことを深くお詫び申し上げますとともに、再発防止に向けて一層の管理体制の強化に努めてまいります。なにとぞご理解とご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。2008年3月2日
名古屋テレビ放送株式会社記1.検針検査実施対象商品
・マスコットウルフィ(頭部にスプリングストラップつき 約10cm) 店頭小売価格850円(税込み)
・マグネットウルフィ(手足部分にマグネットつき 約10cm) 店頭小売価格850円(税込み)- 後略 -
……という話だ。ちょっと気持ち悪い話だが、さすが報道機関。メ〜テレの素早い対応のおかげで、わりと安心感があるのが有り難い。
例によってこのマスコットは中国製。現在の日本ではこうした安価だが手間のかかるヌイグルミやフィギュアなどの手工芸品的グッズの多くが中国製であり、それ自身は珍しいことではない。が、これが毒入り食品と同じ中国でのモラルの低さや管理の悪さによるものなのか、それとも日本国内に納品されてから(、極端な話、このコンビニのお店で景品として用意されてから)誰かが悪意をもって針を忍ばせたものなのかが明らかにならないと、中国製かそれ以外の国製か、どこで販売・頒布されたかの如何に関わらず、こうしたグッズを全て疑って掛からなくてはならなくなる。
もちろん、何かのミスでこういう手芸品の制作過程で針が残ってしまう可能性を、完全に排除することは誰にも出来ない訳だが、出来る限り封じ込め、危険製品を世に出さないようにすることが、生産者のモラルである。メ〜テレなりファミリーマートなり、その店やオーナーなりに悪意を抱く者の犯罪から商品を護るのは流通業者のモラルである。
どうした状況でこの事態が発生したか、事態の広報を含めてどう対処し、どう再発防止を行ったか。しばらく見守りたい事件だ。
ただ、このウルフィというキャラクターには何の罪も無い。こんなことでウルフィ人気が陰らないことを切に願う。
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