Shade10を導入したぞ
Shadeの最新版を導入した。もう10年以上使い続けているソフトだから、非常に手に馴染んでいる。ただ、こういうソフトは最新CPUでないと重くて かなわないため、しばらく旧世代マシンを使って来た神北は1回バージョンアップを飛ばしている。ようやく昨年、iMacを最新版に買い替えて、やっと IntelのCPUを導入したタイミングであり、このたびのバージョンアップで、Standard(Shade6の頃はdvanceと云った、中級バー ジョン)からProfessonalへのグレードアップ・パスが38,800円と、かなりリーズナブルな記念価格になっていたので、この際、 フル版のProfessonalを導入した。(ちなみに、38,800円なのは、現在の予定では3月末までで、その後は50,000円の通常価格に戻る予 定。)
以下、自分のよく使う機能の範囲内でのファースト・インプレッション。
Shadeは、ハードウェアの限界に上限を押さえられるとは言うものの、Basic(入門版)、Standard(中級版)、Professonal(高機能版)と、高機能になるほど、1600×1200ドット<4000×4000ドット<22528×22528ドットと、レンダリングサイズの限界が劇的に変化する。まあ、4000×4000でも、350DPIの印刷物品質で29センチ角の絵を作ることが出来るので、サイズ的に困ることは今までほとんど無かったわけだが、上限が高いに越したことはない。350DPIの印刷物品質で、163.48センチ角という、駅貼りの巨大ポスターサイズまで対応出来るというのは有り難い。もちろん、本気になってそこまで大きな絵をレンダリングするとしたら、何日とかいう規模でマシンを占有されて、泣いちゃうことになるんだろう。だが、10〜15年ぐらい前には、4000×4000ドットやもっと小さな1600×1600ドットの小さなサイズでも、(余計な機能を全て外してメモリを1バイトでも広く確保した3D専用のカスタム・システムとして立ち上げた上で、)4時間とか6時間とか平気な顔して待たされていたから、ハード・ソフトの劇的な進化は恐ろしい。
また、Professonalは、様々な機能をビルドインしているので、ピントの指定や画面奥を霧に沈める機能、レンズフレアをシミュレートする機能なども標準で持っている。ストレートにStandardのバージョンアップをした上で、別売り機能を追加購入するより、リーズナブルなのも確か。
ということで、2バージョンぶりのShade。機能がまた豊富になっていて楽しい。
面白いのは、トゥーンレンダリング機能の充実。昔は、非常に中途半端な出来で、「アニメ的とは云い難い」絵が出来るだけのものだったが、今回は面白い。かなり、アニメチックな絵を作ることが出来る。また、アニメ風だけでなく、2色ページのマンガ風、テクニカル・イラスト風、鉛筆画風の絵が、それぞれ描ける。
このトゥーンレンダリング機能で得た線をもとに、「Adobe®Illustrator、 Adobe Flash(SWF) 出力」機能で、レンダリング結果がIllustratorに持ち込めるのも大きい。無論、まだまだ生成した線が途中でブツ切れしていたり、奇麗な曲線を描かずヨレていたり、今後いろいろと調整は必要にせよ、複雑な3D説明図とかを描くに際してデータ元に出来るものが、Adobe Dimension や Illustrator の3D機能以外にもうひとつ手に入ったというのは、非常に嬉しい。
簡単な絵を描いて、とりあえず、レンダリングのバリエーションを試してみた。欠点をあげると、レンダリングをいろいろといじるのに、「ブラウザ」パレット/「情報」プルダウン・メニュー/「トゥーン設定」と、「イメージウィンドウ」の「手法」/「トゥーンレンダラ」/「設定」の2カ所に別れた設定をいじらないといけないらしいこと。「らしい」というのは、それぞれのパラメータの意味が今イチよく理解出来てないから。たぶん「ブラウザ」の方で部品の固まりに対して細部を設定しておいて、「イメージウィンドウ」の方で「トゥーンレンダラ」を選択すると、そのトゥーンレンダラでレンダリングされるという方式。しかし、「イメージウィンドウ」/「トゥーンレンダラ」/「設定」で開いたウィンドウ「トゥーンレンダラオプション」内で「デフォルト設定」として「フォトリアル」「セルアニメ」「テクニカルイラスト」「マンガ原稿」「鉛筆画」の5つを選べる。この選択に何の意味があるのか、非常に分かりにくい。
また、「ブラウザ」側の「トゥーン設定」では、デフォルトの「フォトリアル」「セルアニメ」「テクニカルイラスト」「マンガ原稿」「鉛筆画」の他に独自のカスタム設定を創れるが、このカスタム設定に名前をつけられる「名前変更」ボタンがあって、名前を変更するダイアログボックスが出てくるが、変更は反映されないし、「イメージウィンドウ」の方の「トゥーンレンダラオプション」内の「デフォルト設定」の選択項目が増える訳でもない。なんだか、「とにかく使える」段階で、インターフェイスを精査・整備せずにリリースしてしまったので、まだ不備が端々には残っているけど、「動くから良いでしょ」と云われている感じ。便利な機能だけに、一日でもリリースが早いに越したことは無いんだが、ちゃんとここいらへんのインタフェイスが直感的になるともっと良いなぁ。
基本的に、簡便な構造で創ったモデルだが、足の各関節と背負った兵装ポッドの開閉には回転ジョイント・ボールジョイントが仕込んであるので、簡単なアニメでぎっちょんぎっちょんと歩かせることも出来るが、今のところ、そこまで創り込んではいない。
あくまでも、静止画用のモデル。しかし、平面・局面をソコソコ使っているので、反射やテカりなどを確認する程度には問題ない。
セルアニメ風にするために、「ブラウザ」側の「トゥーン設定」で、隣接した同一色の部品間でも、きつく折れ曲がった部分に線を入れるように指示している。基本的に平板な塗りで、同一色部品に対し、ハイライトと陰を入れた3段階に、ハイライト内にテカりのブラシ処理が行われている。
ちなみに、この線(トレス線)の太さなども自由にいじることが出来るので、最新のファンキーなフラッシュアニメのような画質も、工夫次第でコントロール出来ると思う。
昔のワイヤーフレームは陰線処理と云ってもひとつの部品内で裏に回る部分だけだったが、今回のものはデフォルトで二つの部品の重なりで隠れる部分までちゃんと陰線処理の対象になり、必要な部分だけ奇麗に表示している。
Photoshopで合成してトゥーンレンダーやレイトレーシングと組み合わせることで、いろいろと面白いエフェクトを得られそうだ。ちなみに、メッシュの密度を変える方法が、よく解らない。それが簡単に出来ると、もっと便利なのだが。
テクニカルイラストというほど、緻密には仕上がらない。この隔靴掻痒感は、ちょっと悔しい。
両脚の付け根のメタル材質の部分と、機体のターコイス系の塗りの部分との接線が、明らかに色も異なっているし、ほぼ90度近い折れ曲がり方をしているが、何故かここに線が発生しない。同一曲面内で色塗りが変わる、機体前部の赤とターコイスの部分間には線が引かれているのにである。まだ調整が上手く行っていないということなのだろうが、ここにデフォで線が引けてほしいよなぁ。
テクニカルイラストに、スクリーントーン風のドット模様で3段階程度の陰を付けている。テクニカルイラストでは対応出来なかった足の付け根の線は、陰を利用する形で上手く描画されていて、これはこれでちゃんと形になっている。
もちろん、ちょっとしたモノクロの挿絵としても使えるし、マンガを書く人が簡単にパースの取れた精緻なメカを描く部品として、利用されるのだと思う。しかしそのうち、キャラから小道具、メカ・背景まで、コマごとに全てShadeで作画して、Photoshopでページに割り付ける、百パーセントShade作画のマンガなんてものが登場するかも知れない。
最期は、鉛筆画。ちょっとした素描という感じである。基本的にマンガ原稿風と同じだが、ハッチング(って云っていいのか)が割と美しい。
マンガ原稿のスクリーントーンとこのハッチングに関しては、Illustratorのパターンのように、こちらでカスタム作成したものを使えると、もっと良いのだが……。
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