値段によっては即買いだぞ
スゴい電子ペーパーが来た。富士通フロンテックのカラー電子ペーパー携帯情報端末 FLEPiaだ。
engadget日本版の2009年3月19日の記事『富士通フロンテックのカラー電子ペーパー携帯端末 FLEPia、一般販売開始』によると……、
8インチ1024 x 768 解像度のタッチパネル カラー電子ペーパーディスプレイを備えたARM XScale / Windows CEベースの情報端末。電子ペーパーディスプレイ最大の利点は書き換え時にのみ電力を消費するため、PCや携帯電話などとは桁違いの長時間駆動が可能なこと。FLEPiaでは64色表示で2400ページ送り、1ページにつき1分表示の換算で 約40時間となっています。
……だとか。64色表示に1スキャン(1.8秒)、4096色なら2スキャン5秒、26万色表示には3スキャン8秒が必要というから、ページめくりに耐えられるのは、64色表示だけと言う気もするが、モードとして26万色表示も可能であるならば、通常は64色の簡易表示でOKかな。……というのも、これはアマゾンのキンドル等と違い、一般書籍をリプレイスする物とは言い難いからだ。つまり、一般的な小説やエッセイを読むためのデバイスではないと言う事だ。
何が違うかと言うと、まず第一にキンドルのモノクロ600×800よりは広い8型カラー1024×768ディスプレーだが、日本語の細かい漢字を再現するメディア
としてまだ、同等面積の書籍1ページを表示するには狭すぎる(or粗すぎる)と言う事。文字構造が簡単なアルファベットには耐えられても漢字表示には「書籍に代わるもの」というよりは、「ディスプレイ
で無理矢理読んでます」的な再現力にとどまる点だ。
具体的に言うと、普通の文庫本が42文字×17〜18行として、文字間無し、行間は文字の半分ずつ空けたとして、24ドット表示なら1008×648ドットほど必要という事になる。本来はその上下に作品名や頁ノンブルが入る訳だが、それを左右脇に退けたとして、やっと文庫本1頁を開けるだけの物。そもそも、それで再現が出来るとして、この大きさで文庫本1頁を読みたいかと言われると、ちぃと勘弁という気がする。
実用に供するには、文字を大きく省略した16ドット表示などで、パソコンの画面を読むように読ませるしかないのだ。
第二の違う点はキンドルでも同じなのだが、上のリンク先記事の写真を見ていただくのが一番と思うが、この大きさがあると、持ち運びにはカバンが必要で、ポケットからヒョイと出して続きを読むと言う文庫本のような使い方を代行できる物ではないこと。ただし、これはそもそも日本と欧米ではハードカバー書籍の占める比率
と言うか意味合いの違いから、キンドルはハードカバー書籍を薄くした物だという点があって、一概に良い悪いではない。
しかし、こういう状態であっても、読みたい書類はある。文字が活字の美しさを持っていなくても読めれば良し。検索力を持つメディアであればなお良しと言うジャンル。たとえば、マニュアルという物は、このFLEPiaに最も相応しい。
オフィスを回ってコピー機をメンテするサービスマンが抱えてくる数冊の分厚いマニュアルが、この厚さ12.5ミリ385グラムの板一枚になってタッチペンひとつで素早く目的頁が開ける。自動車整備工場の脇に棚一面保存してある整備マニュアルが、この大きさの中に入る、もしくは入って無い特殊な頁を無線LANですぐに呼び出す事が出来るとしたら、わざわざ車の下から這い出してマニュアル棚まで出向く毎回の手間を大きく省く事が出来る。
どうせA4版・B5版が主流のマニュアルのリプレイスとしてなら、これはかなり便利な筈だ。しかも、普段から64色程度のカラーはつかえるし、必要なら26万色表示で微細グラフィックを見る事すら可能。
表示できるフォーマットはPDF, TXT, HTMLのほかJPEG, BMP, GIF, PNG画像、Word, Excel, PowerPointファイル、さらに電子ブックのXMDF, .book形式までを押さえているので、必要なら、自分で書いた俺専用マニュアルを自由に追加できる事もポイント高し。
ただ価格が、1台9万9750円。モノクロのキンドルが359ドルという事を考えると、高いとは言い難いが、今日日の安価なネットブックなら2〜3台買えてしまう価格。小画面ながらレファレンサーとしての機能を集約した電子辞書が1/2〜1/3の価格で市場投入されている事を考えると、画面の大きさを差し引いてもなかなか個人が趣味で手に入れるマシンとは言い難い。
逆に言うと、価格によっては即買いマシンだとも言える。台数が大量に出て、せめてキンドル同等の金額になってくれると、普及の度合いが違ってくると思うのだが……。
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コメント
価格次第と言っても、ネットブックが4万円台なのだから、せめて同等にならないと競争力がないでしょう。
あたしはいまだに、NECのピュアタブレットPCを便利に使っているが、何が不満かといえば手元に大量のデータを置けるというほど早く動かないこと。
そうなると、電子ペーパーの書き換え速度の問題に直面するような気がする。
その点をキンドルが改善したらしいことを見ると、果たして「カラーですから遅いです」で通用するものなのだろうか?
投稿: 酔うぞ | 2009/03/20 09:16
酔うぞ さま
今日日の電子機器の予価と売価の差を見ていると、一定以上生産した場合、その4万円台に入ってくる可能性もかなりあるんじゃないかという気もします。ただ、この一定というのは、多くの企業が導入して、かなりの下支えがあったらというとこなので、企業が無駄金を一円でもカットしまくるこのご時勢にはきついでしょうねぇ。
投稿: 神北恵太 | 2009/03/20 16:40