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2009/04/22

彼女が這い寄るぞ

「こんばんわ。いつもニコニコあなたの隣に這い寄る混沌、ニャルラトホテプです。」(ニャル子)

『這いよれ! ニャル子さん』 逢空万太(イラスト:狐印)ソフトバンククリエイティブ GA文庫 600円(税別)

 出オチ、題オチみたいなお話しで、タイトルを聞いたところでもう十二分にスゴいぞこれは。ラブ(クラフト)コメディ開闢とともに、最強(凶)のヒロインが、文字通り(暗黒の)宇宙から降臨した。本名・正体みな不詳。なんせ可愛い銀髪の女の子の姿をしているものの、正体は宇宙の知性体。主人公の八坂真尋(やしろまひろ)とこんな会話をする。
「でも、ニャルラトホテプって。僕の知っているイメージじゃ、もっとこう、モンスターぽいのだぞ。触手が蠢いていたりとか、吐き気を催す色した霧とか」
「お望みであればその姿にもなれますが……SAN値が下がりますよ?」
 このすっとぼけたヒロインは、良いぞ。 ……というか、SAN値、SANチェックという言葉は、宇宙人も普通に使う一般用語なのか??

 彼女の説明によると、無貌の神ニャルラトホテプとは、たまたま地球を訪問してH・P・ラブクラフトやオーガスト・ダーレスと出会った宇宙人が、クトゥルフ神話のモデルになっているのだという。またたとえば、ニャルラトホテプとはひと柱の神ではなく、その種族名だと言う。しかも、地球と言うのは、科学技術はそこそこだが精神文明が未発達、ただしエンターテインメントに関しては、頭脳の構造が違うのか、他のどの星の生物も地球の小説・マンガ・等々エンターテインメントに比肩するものを創作出来ないことから、重要な保護区とされ、一般的な接触が固く禁じられている。だから、ラブクラフトやダーレスに接触したのは、文化保護区に無断で潜入した犯罪者なのだとか。
 うーむ。
 で、宇宙の犯罪組織が真尋をターゲットに誘拐&人身売買を企んでいるとの情報により、彼を守りに来たのが、このニャルラトホテプ。彼女は惑星保護機構から派遣されて来たのだ。

 で、護衛するからには傍に居なくてはならない。当然の成り行きとして彼女は真尋のクラスに転校して来た。「八坂ニャルラトホテプ」ヨーロッパの方からの転校生、八坂真尋の家で預かることになった親戚の子、「ニャル子で結構ですよ」……という設定で。
 かくして、真尋とニャル子のいろいろフラグ立てたり潰したりする生活(?)が始まった。

 ラブ・コメのバリエーションとして、ラブクラフト・コメディというジャンルを作り上げられるとはなんとも、日本のライトノベルというものは、裾野が広がったのであろうか。ラブクラフト師とダーレス高弟が墓穴から這い出して来て、ラインダンスで祝福してくれそうな傑作ラブコメ、ここに誕生である。
 読め、卒倒せよ。

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コメント

 読みました!

 なんだけど、真尋くん、君は何者だ?
 マニアと言って済まされないほどクトゥルーに精通した少年(そこのニャル子さん、意味ちがいますから涎をふいて)なんて、どっから沸いて出たんでしょう。
 絶対おかしいでしょ。

投稿: 東部戦線 | 2009/04/27 00:30

東部戦線 さま

 その通りなんですよねぇ。我々の世代の感覚から見ると。
 しかし、今や商業出版物からネット上の情報まで、ちょっとアンテナ高く上げて、サイフの中の幾ばくかを注ぎ込む情熱さえ持ち合わせれば、いくらでも通り一遍の情報・作品を(しかも古書店漁りもせずにパソコンの前に座ったままで)手に入れられる状況にあるんですよね、高校生ですら。
 もちろん、簡単に入る情報は歯抜けがちで、最終的には資金と行動力に加えて、伝手と経験を得てから自分で走り回らないと手に入らない情報も多いんでしょうが。
 てことで、こういう高校生がいても、驚きませんよ僕は。若人としてちと人間的にどうかという事は置いておくとして。(^_^;)

投稿: 神北恵太 | 2009/04/27 01:59

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