お台場に立ったぞ
2009年7月11日(土)〜8月31日(月)にお台場で開催された『GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト』。テレビアニメ『機動戦士ガンダム』の主人公の愛機「ガンダム」を劇中でのサイズ、全高18メートルで再現したもの。 以下枠内の陣容からも解るように、東京の都市計画一環として緑化事業を進める緑の東京募金と、2016年の五輪を東京に招致しようと計画中の東京オリン
ピック・パラリンピック招致委員会、副都心の都市開発団体、そして経済産業省を後ろ盾にした、公共プロジェクトだ。
ガンダムを建造している時期
は、ちょうど日本SF大会の準備で忙しく、事前の様子を見ることは無かったが、公開後は何度か通い、潮風に吹かれながらガンダムを眺めつつ、夕涼みとしゃ
れ込んだ。
主催:GREEN TOKYO ガンダムプロジェクト実行委員会
後援:経済産業省・社団法人 日本公園緑地協会
特定非営利活動法人 東京オリンピック・パラリンピック招致委員会
臨海副都心まちづくり協議会
特別協賛:バンダイナムコグループ
協賛:日清食品、Yahoo!JAPAN、スカパー!、読売新聞社
セブン-イレブン・ジャパン、テイクアンドギヴ・ニーズ、綜合警備保障
協力:キヤノンマーケティングジャパン、日本旅行、ゆりかもめ、
東京臨海高速鉄道(りんかい線)、ソーラーシティ・ジャパン
なんか簡潔な案内看板
潮風公園入口の看板
順路からコーストデッキのシンボル夕陽の塔を眺める。
台場駅から潮風公園まで歩き、夕陽の塔の所で水際まで出て左に折れ、コーストデッキをしばし歩くと、木陰の上に唐突に見慣れた後ろ姿がが見えて来る。
ヤツだっ!
コーストデッキ側を歩いていると、立ち木越しに頭部が少し見える。
ヤツが、もう手の届くほどの所に居る。30年も付合って来て、本当に立っているガンダムを観た感動というのは、何とも言えないものがある。ここで最初の一目が正面ではなく、背中であるという所である所が良い。
コーストデッキから観た背部
近寄ってみた。
膝関節の裏側。丸い部品が屈曲回転軸ではなく、
その上下に屈曲部のある二重関節になっているらしい。
肩関節の直下に付いている上腕回転軸が回って、
腕が少し開き気味になっている。
膝関節から足下まで。
足下近くから見上げてみる。本当に足の真横に寄ると胸の
競り出しで頭部は隠れてしまうだろう。
ちょっとした関節の曲がり方が、いかにも自然にこのガンダム
が稼働しているように見せている。
左前から観たガンダム。
V字アンテナとバイザーの裏。
列に並んで、ガンダムのしたを通るタッチ&ウォーク。20分か30分並ぶ
程度で足下まで行けるが、どんどん歩かされてほとんど足下には居られない。
ちなみに、30分に一度のショータイムは一旦停止する。
通常のポーズ。
アイカメラが発光するが、光源設置位置のせいか瞳が光るように見えてしまう。
SDガンダムっぽい顔と言われている。
左右の手首。左右で指の表情(握り方)が違う。右手は何かを掴むかすくい取ろうとし、左手は堅く拳を握っている。
細部は、わりとカッチリとした直線で形作られている。
とはいえ、太腿等のゆったりとした曲線も奇麗に再現されている。
WARNING / ONLY QUALIFIED PERSONNEL ARE AUTHORIZED TO SERVICE
「有資格者以外使っちゃダメ」と書いてある。
足首の回転軸。
つま先を前後だけでなく左右および軸方向に振るための装甲の余裕。
ここいらへんの部品、もう少し角の丸めがしてある方がよい気がする。
足首の関節。
脛と足の甲を繋ぐ関節が傾くために足の裏が水平を保てる。
立ち上がった18メートルの巨人を大勢の人々が集まって眺める姿。それはある種の宗教の始まりを思わせる。ガンダム放映から30年。キリスト教に例えるなら、ゴルゴダの丘からルカの福音書・マタイの福音書が書かれるほどの時間が既に流れている訳だ。主催者側の予測150万人を遥かに越える、会期中450万人の来場者という広がり方が、30年間のファン層の成長を物語る何よりの数字だ。
下から見上げる人々。これが宗教でないと誰かに説明するのは難しかろう。
荒天・逆光のガンダム。これの大きなサイズのものを現在、
パソコンの背景画像にしている。
タッチ&ウォークでガンダムの股をくぐる人々。
ゆりかもめ車内から望むガンダム。
このアングルが一番歩いているような写真になる。
下から見上げた。東映戦隊もののロボットが得意とするポーズ。
やはりこの形状の肩ガードは大きくて重苦しい印象があるなぁ。
哀の荒野である。本来は芝生だったんだが、
公開会期の半分と保たずにハゲちょろけ。
会期中ほとんどが曇天だったことが、悲しい話。
1時間に一度、胸の排気口などから霧を噴出するショータイムがある。
しかし、これを観た家族連れのお母さんの口から漏れたのは「ガンダム壊れた?」であった。
目・メインカメラ・肩の航行灯に火が入ったガンダム。
各所が発光する以外に、夕方から夜間は公開時間中、専用照明が点灯し下から投光する
黄昏時になると薄闇の中で陰影が濃くなり、凄みが増す。
夜間のショータイムは、迫力と趣きが昼間と全く違う。
「連邦の白い悪魔(命名:高嶋くん)」の凄み満々である。
胸から顔のアップ。
夜空にそそり立つガンダム。
ビルの街にガオ。
背後からのナイトショット。ランドセルの噴射剤注入口と思っていた
丸い部分二つが、光っていてちょっとびっくり。
ホテル日航東京とガンダム。なんか、照明の具合で色味が
青っぽくて平成ウルトラみたいだ。
ショータイムには、ランドセルのバーニアからも噴射が確認できる。
これも、円谷的な絵作りになってしまった。どうも、ちょっと明るい
ホリゾント的な蒼黒い空と強い照明がそう見せるのだろう。
明るく撮ったショータイム。
暗く撮ったショータイム。
ショー直後、降り撒いた霧と導水管の残水がガンダムの下に滝のように滴り落ちる。
この水が納まるのを待たずにタッチ&ウォーク待ちの人が
誘導されるが、皆さん流石にビビってなかなか進めない。
霧吹きは一時間に一度だが、その合間に首だけ作動させる
パフォーマンスが行われている。
目が光るのだが、発光体の置き方があまりうまくないのか
奇麗には発光しない。それは「景色」ではあるのだが……。
月とガンダム。日本の夏はこう在りたい。
八月も後半に入ると、おしまいの見えた会期に押されるように、
集まる人の数がどんどん加速して行った。
シャアザクヘルメットに「阿宅反攻軍」と書かれたTシャツの謎の人。
「阿宅」が「おたく」なのか「あたっく」なのかは怖くて訊けなかった。
かくして、8月末日、ガンダムの公開は台風接近でセレモニーも中止されたまま、あっけなく終わった。その翌日から既にバラし工事が始まった。
9月10日。会期終了から10日目の
撤去作業中のガンダム。既に頭と両手が無い。
腹の立つことに、会期終了直後から関東地方は
奇麗な明るい秋空が続く。
既に足下には工事フェンスが張り巡らされ、
頭と両腕がない姿はちょっと淋しい。
ガンダムの後に組まれた足場櫓は、腕を保持するためのもの。
青空に聳えるトルソー。
すっかり工事現場用のフェンスに囲われた解体現場。
左奥の櫓もよく見えている。
頭と両腕を下ろしても、なぜか存在感を示す巨体。
本来、母艦ホワイトベースの略号『WB』に続く機体コードナンバーが入る位置に、
オリンピック招致委員会のマークが入っている。
地球連邦軍の宇宙艦隊所属であることを表す『EFSF』マーク。
ほぼ真横からのアングル。歩んでいる左右の足の動きが解る。
一面の芝生広場であったここは、450万人の足に踏まれて、
二月足らずで砂塵舞う哀の荒野に変貌した。
解体のため腕を移設した足場櫓と、腕のない本体。
静かに解体の時を待っている。
■コーストデッキから会場全体を見る。左の高い建物がグラン・パシフィック・
ル・ダイバ。そのさらに左がフジテレビ。
中程の「ビルの街にガオ。」とキャプションした写真と
ほぼ同じ撮影ポイントからの一枚。
かくして、ガンダムは、これを書いている今日現在も、次々と解体工事を進めている最中だ。
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コメント
夜景の写真はかっこいいですね。
次はどこに展示されるのかと、わくわくしていますが、意表をついて「海外」というのも面白いとおもいます。
投稿: N | 2009/09/24 23:30
N さま
実は、現在開催中の東京ゲームショーに、頭部が展示されているそうです。本当は常に全身像で展示していただきたいのですが、十数メートルの高みでなく、すぐそこで見れるというのも面白そうです。
投稿: 神北恵太 | 2009/09/25 09:52
それはすごい
きっと並んで記念写真を撮りたがる人の長い列ができることでしょう
投稿: N | 2009/09/28 23:08