五分の一だぞ
毎日jpの2010年03月11日の記事『絶縁体:電気信号伝達 夢の「8割省エネ」』は、夢のある話。
電気を通さない「絶縁体」の物質に、磁気を使った方法で電気の信号を通すことに、東北大金属材料研究所の斉藤英治教授(物性物理学)らのチームが 世界で初めて成功した。IC(集積回路)チップに使う場合、銅線に比べエネルギー消費量が8割軽減するとみられる。今後、革新的な省エネルギー技術の開発 につながりそうだ。11日、英科学誌「ネイチャー」で発表した。【奥野敦史】
8割軽減って、もう通常の軽減とか節電とかいうレベルじゃないじゃん。1/5の消費電力で済むということは、(まあ、チップ以外にも部品はある訳で、それが全てに渡って効果を持つ訳ではないが、仮想として全部置換出来るとすると……)電池寿命が5倍、今2時間保つ電池を積むマシンはほぼ一日の勤務時間使い続けて余裕のある10時間連続使用できる計算。今10時間のほぼ半日フルに使えるマシンは、二日間無補給で動かし続けられる事になる。
この驚異的な効率を記事はこう解説している。
金属や半導体に電流を流すと、電子の移動に伴い発熱してエネルギーが失われ、省エネ化の妨げになっていた。斉藤教授らは磁気を生み出す電子の自転 「スピン」に着目した。斉藤教授は06年、電子から電子へスピンが伝わる「スピン波」と電流を相互に変換できることを発見。今回はその理論を応用した。
研究チームはICチップなどに使われる磁石の一種の「磁性ガーネット」という絶縁体を用意。両端に白金(プラチナ)の端子を取り付け片方の端子に 電流を流した。すると電流が白金と絶縁体の境界面でスピン波を起こした。スピン波は反対側の白金の端子まで到達し、電流を発生させた。この方法だと電子は 移動せず、発熱によるエネルギー損失は激減した。
どうやら、電流が流れるという事は電子が移動する事だが、スピン波を伝えるだけなので、電子は流れず、発熱もかなり低減。エネルギー効率を長足にアップできたという事らしい。
さらに、これが実現するとCPUの発熱量が大幅に押さえられるから、CPU冷却ファンを不要にできるかもしれない訳だ。既にSSD(シリコンディスク)で、記憶装置からモーターを排除して稼働時間を延ばしつつあるノートパソコンから、さらに一つモーターを減らせる。CPUを省電力化したら、副次的に消費電力をさらに減らす事が可能になる訳だ。
まさに一挙両得!
とはいえ、これで電力を押さえたCPUが出来て、しかもそれが製品にまとまるまでには、まだまだ紆余曲折、時間がかかる事と思う。下手をすると、それよりよっぽど早く、小さな燃料電池で何日も充電を気にせずに済む電子製品が当たり前の時代が来ているかもしれない。しかし、モーターレスで発熱を押さえられるのは良いぞ!
期待して見守りたい技術だ。
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