今度は侵略戦争だぞ!
(はい、地球は狙われています。私は彼らチルゾギーニャ遊星人の侵略を阻止するために地球に来たんです)ジェミー
『MM9―invasion― 』山本 弘( 東京創元社1700円+税)
前巻ラストの、巨大少女怪獣ヒメと、神話伝承から推定される以外では初めて観測されたMM9規模の巨大怪獣クトウリュウとの戦いから5年の歳月が流れていた。ヒメは人間サイズに戻った後、以前同様筑波の気象研で暮らし始めた。
しかし既にヒメは20メートル級まで巨大化することが判明している。この身長20メートルの巨人型といえば、想定体重100トンを越え、MM5クラスである。法規では、普通に歩き回るだけで都市に被害を与え得るこのクラス以上の怪獣は、発見次第即刻排除することになっている。しかし、ヒメは会話こそ出来ないが、人間の幼児程度の知能を持ち、かつ人に懐いており、さらにクトウリュウ撃退の立役者でもある。世論、専門家の意見、国会の論調、すべてが二分されたまま平行線を辿ったが、戦いから3ヶ月ほど後にヒメは全身を分泌年液で覆い、ミイラのような姿で仮死冬眠クリプトビオシスに入ってしまった。そして次にクトウリュウ級の神話怪獣が人類に害を及ぼす何百年か先まで眠り続けるのではないかと推測されたまま、現在に至る。「今のところ害は無い」という判断が大勢を占め、ニスを塗った木彫か蝉の抜け殻のようになって固まったまま、ヒメは気象研に保護されていた。このヒメの観察・研究のためもあり、案野悠里(あんのゆり)は気特対から気象研に移動していた。
しかし、いかに研究が行き詰まっているとしても、かつてヒメを攫ったCCIのようなカルト・テロ集団がヒメを狙うことは今後も考えられる。ヒメは、より安全で、万が一突然目覚めても周囲に被害を及ぼす心配の少ない、北海道の自衛隊基地へ遷されることになった。
しかし、そのヒメを載せたヘリが気象研から大型機に積み替える中継基地の百里に向かう途中、霞ヶ浦上空で隕石と衝突して消息を絶った。しかも、目撃者によるとそれは宇宙から落下して来た隕石とは思えぬ低速でヘリと衝突している。
気象庁特異生物対策部部長、久里浜 祥一の脳裏を「宇宙怪獣」という不吉な語がよぎった
待望のMM9(エムエムナイン)第2部が、東京創元社から登場。今度は宇宙からの侵略である。
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント