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2011/09/14

モリサワPasport2011始末記だぞ

 Macintoshで使っているモリサワのフォント年間ライセンスシステムMORISAWA PASSPORTを、2011版にアップデートした。
 しかし、初夏に旧マシンから新マシンへ、移行アシスタントを使って環境を移行していたため、モリサワに登録してあるマシンと、今使っているマシンが違うため、思わぬ手間を食ってしまった。
 今後のために、詳しい記録を残す。

 そもそもMacといえば、マルチフォントとWYSWIG(ディスプレイで見た通りの字体・字間行間で出力できること)がウリであり、さまざまなフォントが切り替えて使えるのは、当たり前のことだ。マイクロソフトのOSがまだWindowsになる前のMS-DOS時代に、Macの上では、見出しと本文・真面目な用途とふざけた用途でフォントを変えることが当たり前だったし、それは日本においても1986年の漢字Talk からKyoto(明朝体)とSapporo(ゴシック体 漢字Talk 2以降は Osaka)という2フォントが標準で載せられていたことでもよ〜く判る。ただしこのビットマップフォント、画面で見る分には割と綺麗だが、打ち出すとギャザが大きく出て、まあ、学生の新聞や町内会の連絡程度には使えても、商業出版にはチョイと手が届かないものだった。特に印刷品質が世界一高い日本においては、落差が大き過ぎたのだ。
 その後フォントはどんどん進化して、ビットマップフォントはビッグフォント(表示用の16×16ドットフォントとは別に印刷用の32×32ドットや48×48ドットのフォントを用意し、高精細プリンタ——と言っても当時は1インチ当り144ドット〜300ドット程度——で綺麗に印字出来るようにするもの)の時代を経て、1990年代初頭にATM(AdobeTypeManager)やTT(TureType)のアウトラインフォントの時代に至った。これ等のシステム下では、プロからアマチュアまでさまざまな人が作ったありとあらゆるフォントが、自由な大きさに拡大しても綺麗に打てた。とはいえ、プロが何十年もかけて磨いて来た印刷用活字フォントの統一の取れた美しさは価値が高く、特に日本語フォントともなると実用に供するためには数千字分を作ることが必要で、多用される数種を除き、まだまだ1書体10万円などという値段が平気でついていて、シロウトに毛が生えた程度の駆け出しがおいそれとコンピュータに載せられるものではなかった。
 しかし、10年程前にまた大きなパラダイムシフトが起こり、その双方を統合し、より多くの字を内包出来るOpenType規格へと統一、Windows・MaciOSX等がこうしたフォントシステムを採用し、世はより豊かなマルチフォントの恩恵を享受する時代へと突入した。
 とはいえ、さすがに、仕事としてDTPに関わっているとなると、フリーの面白フォントを中心に集める訳にも行かず、ちゃんと商業ベースで使えるフォントを用意しなくてはならない。こんなとき、各有名フォントメーカーが思い切った策を打って来た。
 先頭を切ったのはフォントワークス。2002年にLETSという製品システムを売り出した。これは、フォントワークスのフォントがすべて1年間使えるライセンス商品。基本的な本文フォントを押えた上で、割とキャッチーなフォントが多いのが特徴。大きな文字を多用するポスター屋さんなら、まず押えておくべきセットかもしれない。
 次にそれに続いたのはモリサワMORISAWA PASSPORTだ。LETSとPASSPORTはともに年間52,500円だが、PASSPORTはLETSよりぐっと基本フォントを多くした感じで、キャッチーなフォントは少ないが、出版社の多くが使うリュウミンや新ゴシックといった基本書体とそのバリエーション(別形状かな等)が揃っており、印刷屋がそういうフォントを揃えているのだから、書籍出版においてはデフォルト、デファクトスタンダードとしか言いようがない。
 その後に、ダイナコムDynaSmartという製品が発売された。これは年間26,250円と、先行2社の半額で安さを売りにしている。ダイナフォントの最大の特徴は、中国語フォントの充実等が上げられる。そもそもTrueTypeのフォントの種類を驚異的に増した会社の製品である。ただ、一時期数を増すことに血道を上げたため、特徴的な良いフォントをいくつも抱えながらも、一方でいかにもやっつけ仕事的な、あまり使い道の無さそうなヘタウマフォントが行列に加わることになり、見ていてゲンナリさせられることも多い。良質なフォントといえども結局、後行程の現場にあまり採用されていないため、自分のところでアウトラインを取るしかなく、であるならば旧来のTrueTypeでも大差はない訳で、毎年この会社にそれだけの額を払う価値があるのかどうかは、神北には疑問である。

 さて、かくいう現状を鑑み、神北も数年前にMORISAWA PASSPORTを導入した訳だが、その後、毎年秋口にフォントの更新が行われている。確認されたバグの対応や新しいフォントの導入等、モリサワの1年間の成果が、自分のマシンに反映される瞬間だ。
 しかし、今年の更新は一筋縄では行かなかった。
 まずは、アップデート。これはスンナリと通った。次に新しいフォントのインストールなのだが、これが上手く行かない。
 「あんたに許可されたマシンの台数を超えてるよ」と仰る。
 そうか、確かに、そうだわな。初夏に神北はマシンを変えている。iMac(2007)からMac Book Pro(2011)に、MacOSXの「移行アシスタント」を使って乗換えていたのだ。この時、古いマシンから新しいマシンに設定やインストールアプリ等と一緒に、フォントも一気に送り込まれたので、特に困ることなく新マシンでモリサワフォントが使えていたのだが、これが悪かったみたい。旧マシンからフォントを抜いて、新マシンに入れなおさないと、管理しているモリサワのデータベースは「1台分の予算で2台目にもインストールしようとしている」と考える訳だ。
 旧マシンは既にネットワークからも外れていて、何ヶ月も使っていないので、モリサワのサポートに電話して、「そっちで、旧マシンのデータは削れないか?」と聞いてみたが、それは面倒なことになるみたいで「旧マシンを繋いでアンインストールしてくれ」と言われた。ま、ズルはイカンわな。
 旧マシンをえっちらおっちら持ち出して来てネットに繋ぎ、PASSPORTインストーラーディスクを食わせて、フォントのアンインストールを実行。こっちはこれでヨシ。
 次に新マシンの方でフォントをインストール。今回少々文字同士の間隔の取り方が変わったフォントもあるし、そもそも移行アシスタントで遷したフォントにはそれぞれ前のマシンの名前が書き込まれているので、整合性上「上書き」チェックボックスをチェックして書き改めた方が良いと、モリサワのサポートにアドバイスされたので、全てのフォントを選び、上書きチェックボックスにチェックを入れて、インストール開始。
 落ちる。

 あれぇ? 一度に全フォントは多過ぎたのか?気を取り直して120個ぐらい選んだ状態で第一次インストール開始。
 落ちる。

 あれぇ? 変だと思い、インストーラのアンインストールを押してみる。全部消した筈なのに、残っているフォント名に「A-OTFハッピーN Std B」が表示されている。
 選んでアンインストール。再起動。
 確認のため、インストーラのアンインストールを押してみる。残っているフォント名に「A-OTFハッピーN Std B」が表示されている。
 今度は「別のPCへ移動」ボタンでモリサワフォント全部一度にアンインストール。再起動。
 確認のため、インストーラのアンインストールを押してみる。残っているフォント名に「A-OTFハッピーN Std B」が表示されている。
 あれぇ?
 もしやと思い、システム標準のフォント管理ソフト「Font Book」を起動してみる。モリサワのオープンタイプフォントとしては、A-OTFゴシックMB101 Pr5 R ・同Pro R ・同Pro DB ・A-OTFリュウミン Pr5 L-KLが残っていることが判った。
 再びモリサワのサポートに電話して、「どうしても消せないフォントがあるのだが、手で消しても良いか?」と聞いてみたら、「そもそも、移行アシスタント経由というルートはうちの手順にはないので、インストーラのアンインストール機能が対応出来ないようなことはあり得るし、そこは責任も持てない。手で消してくれ」と言われた。ま、ズルはイカンわな。

 Font Bookでフォントを選んでおいて、プルダウンメニューから「ファイル/Finderで表示」を選ぶと、Finderでこのファイルが表示されるので、次々と見つけてゴミ箱に放り込み処分する。おかしなことに、ほとんどのフォントはUserのライブラリ内にあったのだが、件のハッピーNだけがSystemのライブラリにあった。移行アシスタントはどんなイタズラでこんなことをしたのだろうか。
 ともあれ、残っていたフォントデータを手で消した後は、インストーラーでフォントを一気にインストール。かくして無事、神北のMac Book Proのモリサワ系フォントは最新版に整ったという訳だ。

 今回の教訓は、移行アシスタントを信用するな。モリサワのフォントは、正当手順以外で扱おうとするな。——の二点だった。はぁ、これが身にしみるのに、マシンの電源を落としたり立ち上げたりをくり返して、結局半日かかっちゃったよ。

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コメント

 おぉ~。実は私も1年ほど前に同じコトをしてモリサワのお姉ちゃんに「移行アシスタントは使うな」と言われてしまいましたよ。で、面白いコトに、旧マシンを接続してフォントをアン・インストールしていると、その過程がモリサワ側でもリアルタイムに確認できるみたい。「ずいぶんマシンが不安定なようですが、古いマシンですか?」とか聞かれちゃった。まあ、不安定になったから買い換えたんだよね。うん。
 ともあれ、お疲れ様でした。

投稿: 安達裕章 | 2011/09/15 07:56

安達裕章 さま
 みーんな通る道なのね。(^_^;) たった1台のマシンでこれだけ苦労するのに、何十台もマシンを使っている大手編プロや、出版社さんって、どうやっているんでしょうねぇ。
 しかし、モリサワのサポートの練度パネェっ!! 「ええと、箱に書いてあるお客様コードがですねぇ。なんちゃらの〇〇−〇〇〇」「はい、神北様ですね」と瞬時に名前が出て来た。

投稿: 神北恵太 | 2011/09/15 08:41

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